隠蔽大国
 
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 安倍首相のダボス会議での発言に諸外国は警戒感を強めていると報じられています。安倍首相の1月23日のダボス会議での基調講演は美辞麗句だらけでしたが、海外メディアとの懇談では、もっぱら靖国参拝や中韓関係に質問が集中しました。

 外国記者から「日中が武力衝突に発展する可能性はないのか」と問われた安倍首相は『今年は第一次世界大戦から100年を迎える年である。当時英独関係は大きな経済関係があったにも関わらず、第一次世界大戦に至ったという歴史的経緯があった。』と応じました。

 まるで当時の英独間の戦争のように日中も戦争前夜にあると受け取られかねない安倍発言に、海外メディアは騒然としました。

 英フィナンシャル・タイムズやBBCは「安倍首相は経済的に相互依存する日中は1914年の英独に似ていると認識している・・英独は、第1次大戦で直接戦っている。」と報道し、BBCは「首相は靖国参拝について後悔や陳謝のそぶりをみせなかった」と報じました。英フィナンシャル・タイムズは、安倍首相は現在の状況を懸念しているだけかもしれないとしながらも「日中間の戦争の危険性が急速に浮上している」との見解を報道しました。(これは決して誤訳でも歪曲報道でもありませんでした。)

 確かに、安倍首相の言う平和の発言は矛盾しているので誤解もされるようです。日本は二度と戦争を起こさないといういう一方で、日中間の軍事衝突の可能性がありうるとの安倍首相の見解は、かつてのヒトラーのように平和憲法の下で再軍備宣言すると言う矛盾行為を前提にしているようでもあります。

 しかも、安倍首相は、靖国参拝や歴史問題発言ですっかり「福島原発事故」が影響可能性がある東京オリンピック開催の懸念材料についての外国からの質問を封じ、福島のリスクを隠蔽することには、したたかに成功したようです。
 1938年のときのように東京オリンピックをやめざるをえなくなる事態は避けられるべきですが、多くの日本の有識人も主張しているように、安倍首相発言とは真逆に福島原発の実態は今も「ノーコントロール」です。

 1月22日も東電は、福島第1原発の海側敷地にある観測用井戸の水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が過去最高値の1リットル当たり310万ベクレル検出されたことを発表しました。とうていこのような異常な数値が出続けるなら、東京でさえ世界中から多くの人を呼ぶことは常識的にはリスクが極めて高く、むしろ不可能だと考えるべきだと言う人も多いようです。

 一方、韓国の朴槿恵大統領もダボス会議で講演し「(北朝鮮との)統一は韓国のみならず、中国やロシア東部など周辺地域にも恩恵がある」「統一を待つのではなく、努力して統一への環境を整えなくてはならない」と主張しました。朴槿恵大統領の講演中、対話を閉ざしている安倍首相も会場で静かに傾聴していたそうです。

 しかし、安倍首相や北朝鮮の挑発外交の失敗?とは真逆に、慰安婦問題も含めて、朴槿恵大統領の米中との対話外交は大成功しているとも報道されていますが・・どういうことでしょうか?。

アメリカのオバマ米大統領は1月17日、日本政府に「慰安婦決議案」遵守を促す内容が盛り込まれた法案にも署名したと韓国では報道されています。韓国の聯合ニュースでは旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する内容を含む2014年度の歳出法案に、オバマ米大統領は署名したと報じられていました。

 しかし、このアメリカの法案は「(日本政府に公式謝罪を求めていた)2007年の下院の慰安婦決議案通過に注目し、日本政府が問題解決に努力するよう国務長官に求める」と言及しているものです。

 2007年7月30日(第一次安倍内閣当時)にアメリカ下院議会を通過した121号決議(いわゆる慰安婦決議)です。『日本政府による強制的な軍隊売春制度「慰安婦」は、「集団強姦」や「強制流産」「恥辱」「身体切断」「死亡」「自殺を招いた性的暴行」など、残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつであり、日本は公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負い、現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育をしなければならない』というものでした。従前の主張に沿ったもので、今回アメリカの見解が新たになった訳ではありません。

背景には、2012年11月4日アメリカ・ニュージャージー州地元紙「スターレッジャー」付に掲載されたジャーナリストの桜井よしこ氏らでつくる「歴史事実委員会」による意見広告によるアメリカ世論工作の波紋などがありました。「女性がその意思に反して日本軍に売春を強要されていたとする歴史的文書は…発見されていない」「(「慰安婦」は)『性的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で働いていた」などと慰安婦問題の日本政府の責任を完全否定する主張をした意見広告でした。しかも、この意見広告には、翌月12月に再度首相に返り咲いた安倍晋三議員を初め日本の国会議員39人が名前を連ねていたのです。それは、第一次安倍内閣時における121号決議は、その最大の当事者である安倍首相に完全に無視されていた事実の証明でもありました。

 
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 しかし、靖国参拝非難や慰安婦問題の解決を主張しているのは、アメリカだけではありません。台湾のトップの馬英九総統は1月19日、交流サイト「フェイスブック」上で、1月18日に南部・屏東県で台湾の元慰安婦と面会したことを報告し、「われわれは日本軍の暴行の歴史を永遠に忘れない」と主張し、安倍晋三首相の靖国神社参拝は、「傷口に塩を塗る」行為で、遺憾だと表明しました。

(台湾では婦女救援基金会が韓国系米国人の芸術家、李昌珍さんを招いて企画した「慰安婦募集」展覧活動が2013年12月9日に台湾地区の台北で行われました。同展は李昌珍さんが2008年から韓国や中国大陸部、台湾地区、インドネシアなどを訪れて収集した大量の「慰安婦」関連史料を、マルチメディア形式の映像や公告ポスター、慰安所の再現といった形式で展示しています。)

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 注目された中国ニュースは、吉林省公文書館が新たに中国侵略関連の日本軍関係の文書を掘り起こし発見した件です。新華網や人民日報が伝えています。

 吉林省公文書館が今回新たに掘り起こし、整理した慰安婦問題関連の32件の書類は「憲兵月報」「南京周辺地区『治安回復状況』に関する報告」などで、慰安婦を強制連行し、奴隷的に酷使し、虐待した日本軍の狂暴な行為を詳細に暴露する物的証拠になるとも言われているようです。

 1938年2月28日の「南京周辺地区『治安回復状況』に関する報告」は南京周辺の下関、鎮江など9地区7カ所に慰安婦を設置した状況、現地駐留の兵士の人数、慰安所の慰安婦の人数、慰安婦が相手をした日本兵の人数、日本軍の慰安所利用状況を記録。これによると、この地区では最多で慰安婦1人が兵士267人に「利用」され、最小でも慰安婦1人が日本軍将兵71人の相手をしなければならなかったと記載がありました。日本の文書には慰安婦の構成も記録しており、ある慰安所では朝鮮人慰安婦が36人いたとしています。

「文書の記載から見て、当時日本軍は慰安婦に対して非常にむごく、慰安婦をひどい目に遭わせ、虐待することが日常茶飯事だった」と、吉林省公文書館「慰安婦」課題チーム長の王放氏は指摘します。 「憲兵月報」には「鉄道工場の日本兵1名が酒に酔った後に軍の慰安所で慰安婦に暴力を振るい、器物を損壊した」との記録があり、「郵政検閲月報」によると、中国の庶民、日本の軍人および家族が家族や友人に宛てた手紙の分析でも日本軍が慰安婦を奴隷的に酷使した犯罪行為の記録があると言われます。
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 1945年3月27日から4月19日までの「経済部、満洲中央銀行、奉天、牡丹江、鞍山支店及び日本大使館等の領事館経費、旅費、慰安婦調達資金等についての書簡・電報」には、満州中央銀行鞍山支店が関東軍第四課の承認を経て、軍用公費として日本軍の慰安婦調達専用資金の振替を行った記録まであるそうです。

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同様の形式の慰安婦経費振替は他の電話記録にも多くあり、吉林省公文書館の尹懐館長によると、同館は現在10万巻(冊)以上の関東軍の文書(うち9割が日本語)を保管。関東軍が中国東北部を統治していた1931年から1945年までの様々な事項が記録されているそうです。(ネット公開の資料を見た限りでは、満州中央銀行の内部資料のようです。)
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今後、中韓の政治連携が進みこの資料が解明されると、日本は政治的に苦しい立場にも陥りそうです。近年一部の日本の学者達が主張していた「従軍慰安婦問題は朝日新聞の捏造?。彼女達は、慰安所から高額な収入を得ていた?。一部の従軍慰安婦証言がころころ変わっている。自主性もあったのでは?、結局終戦時に内務省通達で証拠隠滅を図ったこともあり「慰安婦強制は証明ができないはずだ」など・・慰安婦資料の隠蔽で成り立っていた、安倍首相らのこれまでの主張の前提が全て崩壊してしまう懸念があるのです。(公開された資料の写真の南京の慰安所の記載欄には上記の外芸者17名アリとしており日本の売春芸者と慰安婦が別管理されていた様子も伺えます。(募集や設置に民間ブローカーを利用していた慰安所も、設置費用は日本軍から出ており、設置させたのは日本軍であった事実は、日本でも従来から知られてはいました。実際、日本の陸軍経理学校では軍慰安所設置方法さえ教えていたのでした(桜田武・鹿内信隆『いま明かす戦後秘史』1983年)従って、日本軍には、民間ブローカーへの委託者責任があり、民間ブローカーの偽計行為や強制行為に責任があったことも明確です。))

 資料は中国における満州中央銀行に係る資料などのようですが、満州中央銀行の資料は日本人の銀行員により記載された厳密で詳細な資料であり、十分な証拠力があると思われます。

今後、中国内にとどめず、日本側の学者による詳細な解明が期待されるところです。日本の政界や、歴史学界の一部は慰安婦の強制連行の認定で、調達行為は国や軍の行為ではなく、軍の周辺にあった民間業者等の自発的行為だったと弁解し続けてきました。「狭義の強制はなかった」「旧日本軍が慰安婦への強制性を裏付ける証言はない」などと詭弁を弄していたのですが、新たに見つかった、この満州中央銀行の文書には、「(日本)軍ノ為ノ慰安施設」と明確に記載されており、当時から、日本軍のための慰安施設であるとの認識において、その設置資金や運営資金や統制状況が記載されているようです。お金の流れから、日本軍(=日本政府)の直接関与を明確に証明する、しかも日本人の手による当時の明確な記録であり、今後大きな波紋を呼びそうです。

(中国東北部では当時、張学良などの軍閥などが財政的な自主権を持ち、独自に貨幣を発行する銀行がありました。関東軍は4つの主要銀行に日本人の管理員を派遣して経営統合させました。統合された銀行は1932年7月に満州中央銀行として満州国の設立に先駆けて開業しました。当時世界恐慌の枠外にあった、中国の銀本位制も承継して軍閥通貨も統一し、その後満州国の通貨を発行し満州経済を担いました。満州の権益の一部は岸信介を通じて東條陸軍大臣にも提供され、英米開戦にいたる東條英機内閣の成立を日本にもたらしたとも言われています。また、日本陸軍は、当時の日本の最高水準の印刷技術で、蒋介石政権の偽札を製造させて中国内に流通させました。1942年以降に日本の製造した偽札は当時の額面で40億円、日本の終戦間際の国家予算の5分の1相当であったと言われます。)

 しかし、発見された資料はあくまで中国戦線における慰安婦施設に係る資料に過ぎません。東南アジアを始め広く、様々な形態で存在した日本軍の慰安婦施設の実態資料は殆どが廃棄され隠蔽されたと言われます。また朝鮮半島内では総統府が慰安婦に係わる資料を全て廃棄したと言われています。

 戦犯事件とされたため、日本の強制連行の事実も含めた明確な記録が日本国内でも残っていたのは、インドネシアの捕虜収容所(オランダ人女性約35人が慰安婦として日本軍に強制連行されていた収容所)の公的資料でした。これは昨年日本市民にもようやく詳細が開示がされました。それは慰安婦問題への軍の関与を認めた河野談話作成の基にもなった資料でした。(バタビア裁判・白馬事件)

 日本国・法務省によると、その資料には1949年までにオランダ側による臨時軍法会議(BC級戦犯法廷)で日本軍の中将や少佐ら将校5人および民間人4人を含め11名を強姦罪などで有罪とした起訴状や判決文などの裁判記録に加えて裁判後に日本将校に対して行った聞き取り調査の記録も含まれていました。

 1999年に法務省から公文書館に移管された後、昨年9月下旬に神戸市の市民団体の請求を受けて正式に一般開示されました。この、インドネシアの慰安婦施設の特殊制は白人慰安婦の施設であったという点だけで、決して特殊なものでもなく、いわゆる慰安婦達が当時どのように強制連行され、強要・管理されたか、当時の日本軍慰安婦とは、どのようなものであったかがよく理解できる資料であり、日本軍の強制連行事実の明確な証拠のひとつでした。(自分の娘を連れ去られたオランダ人が、抑留所視察に来た日本軍の大佐に抗議した結果、日本軍は国際批判をおそれ、この白人慰安所は閉鎖しましたが、すぐにアジア人慰安所として再開され、日本軍は当時から国際法違反の認識さえもなく、戦時中は自ら処分なども一切されていませんでした。戦後にオランダの被害女性たちに抗議・告発されてしまったため、例外的に東京裁判でBC戦犯対象になってしまった事件でした。)


2007年当時アメリカ議会の慰安婦問題聴聞会に3名の被害者証人の一人としてたったオーストラリア国籍のジャン・ラフ・オハーン(ヤーン・ルーフオヘルン)婦人も、インドネシアの慰安婦施設に収容された一人でした。『 修道女になるためフランシスコ会の教育大学で学んでいた17歳の学生の時に日本軍が侵攻、アンバラワ抑留所に母親と2人の妹と一緒に入れられました。2年後抑留所で日本軍から「17歳以上の独身女性は整列しろ」と命令され、16名の少女が慰安婦志願の名目でトラックで連れ出され、スマラン市内にあった4つの慰安所のひとつに彼女を含め7名が送致されました。彼女は、「日本式の花の名前が入った名前を付けられ、髪が薄い日本軍将校が待つ部屋に連れて行かれました。 彼は刀を抜いて‘殺す’と脅した後、服を破り、最も残忍に私を強姦した。その夜は何度強姦されたか分からない!」「一緒に連行されたオランダ人少女らと3年半、毎日こうした蛮行にあい、飢えて苦しみ、獣のような生活をした!」等、実態を議会証言しました。』
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 一方、韓国の女性家族部は1月14日、旧日本軍の慰安婦関連記録を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録申請する計画を明らかにしました。

 同部関係者は「韓国や中国、東南アジア、日本などにある慰安婦関連資料の現況を調査しており。今年末までに作業を終わらせ、来年文化財庁に世界記憶遺産の登録申請対象として提出する計画」と話しています。
「世界の記憶」「世界記憶遺産」とも呼ばれユネスコが2年に1度審査しており、来年ユネスコ事務局に提出すれば、その翌年に登録の可否が決定されます。

 2014年は国内で、2015年からは中国や東南アジア、オランダと協力しながら関係資料を収集する方針を明らかにしています。すでに韓国、中国や東南アジア地域に存在する旧日本軍の従軍慰安婦記録の調査を現在進めており、今年末までにリスト化を終えるようです。予定では2017年の登録になるようです。中国、東南アジアの国家など旧日本軍の慰安婦に関連し被害を受けた当事国だけでなく、慰安婦問題に取り組む日本国内の市民団体とも連携し、共同で登録を申請することを検討しているそうです。その賛否は今後、日本でも大きな議論となりそうです。
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by zhenhong1 | 2014-01-26 19:05

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